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最高裁判所第二小法廷 昭和43年(オ)1035号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人岩沢誠、同能登要の上告理由について。

民法五六五条にいういわゆる数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買を指称するものである(最高裁判所第三小法廷判決、昭和四一年(オ)七七〇号・同四三年八月二〇日参照)。

ところで、原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定した事実を肯認することができるところ、右事実によると、本件立木の売買は、被上告人所有山林のうち原判示のように明確に区分された範囲内にある立木全部を目的とするものであつて、一定数量の立木の存在を契約の主眼とし、これを目的として締結されたものではなく、したがつて、いわゆる数量指示売買にあたらないとした原判決の判断は、前記説述したところから明らかなとおり、当審も正当として、これを是認することができる。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

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